今回は、”羊を被った狼”の頂上(?)対決とも言うべき、アルピナB4とジャガーXE Sを徹底比較していきたいと思います!
試乗では絶対に比較できないオーナーだからこそのリアルな比較をしていきたいと思います。
概要比較
アルピナ B4 | ジャガー XE S (340馬力モデル) | |
全長 | 4,640mm | 4,680mm |
全幅 | 1,825mm | 1,850mm |
全高 | 1,370mm | 1,415mm |
車両重量 | 1,670kg | 1,710kg |
排気量 | 2,979cc | 2,994cc |
エンジン形式 | 直列6気筒ツインターボ | V6 スーパーチャージャー |
出力 | 410馬力(5,500rpm) | 340馬力(6,500rpm) |
トルク | 600N・m(3,000rpm) | 450N・m(3,500rpm) |
ミッション | 8速AT | 8速AT |
0-100km/h | 4.2秒 | 5.1秒 |
最高速度 | 305km/h | 250km/h |
駆動 | FR | FR |
値段 | 1,158万円~ | 839万円~ |
まずはボディサイズですが、もともとは、Dセグメントの3シリーズがベースということもあり、全長、全幅、全高ともに、概ね同じですね。ほんの少しずつアルピナ B4のほうが、ジャガー XE Sと比較して、小さいという感じでしょうか。
しかしながら、エンジン性能という観点では、アルピナ B4のほうが、全体的にジャガー XE Sよりも速いですね。
まずはエンジンその物ですが、いずれも3リッターというところは同じですが、アルピナB4 は、BMWの十八番である、シルキーシックスの直列6気筒。そこに、アルピナがチューンした、ツインターボが搭載されることで、0-100km/hが、4.2秒という驚愕の加速力を誇っています。M4が、4.1秒と言われてますので、Mモデルと加速性能では、ほぼ変わらない加速力です。
一方、ジャガー XE Sは、フォード時代からのV8エンジンから、2気筒をカットしたV6エンジン。こちらは、ジャガーの十八番である、スーパーチャージャーを搭載して、0-100km/hも5.1秒とかなりの俊足。
いずれも、ぱっと見は、大人しい(?)雰囲気を持ちつつ、かなり荒くれの加速力を持った二台ですね。
そして、もう一つが最高速度です。正直、日本の輸入モデルが、本当に305km/hまで出るかわかりませんが、彼らの表現は最高速度ではなく、最高巡航速度という表現をしています。正直、300km/h超えて巡航って、アウトバーンでも無理でしょと思わなくはないですが、少し面白い表現だったので、ご紹介しました。
乗り心地対決
この2台の大きな特徴と言えば、乗り心地で評判のアルピナと猫足ジャガーの対決でしょうか。
街乗り比較
アルピナの方は、本当に静かな走り出しで、窓なども締め切ると本当に無音になる感じです。一方、スポーツモードで、窓を開けると、アクラボビッチからのマフラー音が程よく聞こえ、2速でアクセルオフするだけで、バブリングも下品にならない雰囲気でバフバフ言ってくれます。
ジャガーの方は、車内は、スーパーチャージャーの音が結構します。街乗りレベルでも感じることが多いと思います。一方で、少し強めにアクセルを踏むと、バルブが開いてくれるので、その時の音は、アルピナの比にならない素晴らしい音がします。これが、この車の一番の魅力だと思います。多分、2,000rpmくらいからそれくらいの音を鳴らすことが可能です。なので、ついつい吹かしがちになってしまうのが、この車の特徴かもしれません。
高速走行比較
これは結構意外だったのが、アルピナは結構、凹凸、衝撃を拾います。イメージ、すごく柔らかくて、なんなら少しフワフワするんじゃないかというくらいのイメージを持っていましたが、かなりアジリティあると思います。誤解がないようにしてほしいのは、世の中の普通の車対比ではなく、”アルピナ”というイメージ対比という感じです。
なので、高速走行するときに、アルピナ B4であれば、スポーツモード、ジャガー XE Sはダイナミックモードで走行をした時を比較していますが、多分、乗り心地という意味では、ジャガー XE Sのほうが上かもしれません。
ただ、ちょっとアンフェアーな比較をしているところはありまして、①アルピナ B4は20インチ、ジャガー XE Sは19インチタイヤを乗っている、②一番最初に試した道が、結構道路の状態が悪いところだった、③最初の印象の時は、まだ車自体に慣れていなかった、という3点くらいのアンフェアーな比較になっています。
妻曰く、「正直両方に差を感じない。むしろアルピナ B4のほうが、体がシートからズレる幅が少ない印象」という言葉をもらったり、しばらく慣れた後に、改めて走った際は、すごく滑らかな印象を持ったので、正直、甲乙つけがたいかもしれません。だんだん、ジャガーの感覚を忘れていっているので、なかなか比較って難しいですね。
天下のアルピナと、ガチでやりあえる、猫足ジャガーの足回りは、改めてスゴイなと思いました!ある、モータージャーナリストが、「BMWなどのジャーマンブランドは、パツパツのスパッツ履いたような感じだけど、ジャガーはステテコを履いた感触。ちゃんとしなるのだけど、踏ん張らないといけないところは、しっかり踏ん張るという感じ」と評したのが、よくわかります。
ジャガー XE Sは、ジャガーの十八番であるアルミボディを全体の75%採用することで、軽くなった車重を全て足回りの強化に充てたというほどですので、やはりすごいですね。
加速フィーリング比較
アルピナ B4の直6エンジンが奏でる、エンジンサウンドはたまらんですね。なんの雑味もない加速音は、正直、ジャガー XE Sよりも純度が高いという印象を持ちます。一方で、やっぱり音量はおとなしめで、何よりかなり回転数上げないと音がしないのは、少し残念です。
ジャガー XE Sも340馬力のモデルは、V6のエンジンサウンドもしっかり楽しめるので、 かなりエキサイティングな車だと思います。音量もかなりしっかり運転席に聞こえてきますので、走る気にさせてくれるいい車です。加速フィーリングで一番残念なのは、何と言ってもスーパーチャージャーの音です。これが結構残念で、これさえなければ、もっといい車なんですが、Dセグメントに大きなエンジンが乗るわけもなく、難しいところですね。
そして、当たり前なのですが、加速力は、圧倒的にアルピナ B4が速いです。これは定量的にも、0-100km/hで0.9秒差という形で現れてはいますが、正直、その数字以上に差を体感します。あまり日本語能力が高くないので恐縮ですが、イメージとしては、「普通に速い」という感じです。全然苦なく加速していく感じですね。そして、加速しながらも、トルクがモクモク湧き上がってくる感じで、本当に底を感じないです。
少しアジリティが高めの足回りとこの加速力が相まって、本当に思いのままに車体を動かすことができます。本当にすごい完成度の車だと思います。
コーナリング性能
もともと、2リッターのジャガー XEに初めて乗ったときに、コーナリング性能やレーントレース性に感動をしましたが、正直、アルピナ B4のコーナリング性能は、もう一段上ですね。なんでこんな滑らかに曲がれるんだ!とビビる感じです。かなり高速で曲がっても、本当に体がぶれないです。シートの形状なども影響しているかもしれません。これが、妻の 「アルピナ B4のほうが、体がシートからズレる幅が少ない印象」という言葉に現れているのかもしれません。本当に凄い車だと思います。
エクステリア・インテリア
エクステリアに関しては、正直好みも大きいとは思うので、あまり語るべきではないと思いますが、2点だけ言及をさせて頂ければと思います。
まずは正面からの見た目です。まずは、新型4シリーズのお鼻が、とんでもないことになってしまったので、このきれいなお顔の4シリーズに乗れて、とても幸せです。やっぱりこのバランスが圧倒的に美しいと思います。
また、ジャガー XE Sのエクステリアの中で、数少ない不満が、エンブレムの上につけられた、チープなアルミの板。これは、エンブレムの後ろにあるセンサー類を守るためにつけられているようで、日本の規制上、つけなければいけないもののようです。海外モデルでは、実はつけられてない国もあります。また、新型のジャガー XEは、エンブレムが改良されて、このアクリル板はなくなってました。アルピナ B4には、こういう余計なものがついてないので、とてもすっきりしています。
もう一つは真横からの見た目です。これはかなりわかりにくいかもですが、私はアルピナ B4のほうが、クーペということもあり、よりきれいな流線形になっているように感じます。こうして写真を横比較すると、その差は本当にわずかかもしれませんがww
最後にインテリアです。これは、やっぱりアルピナのほうが一枚上手ですね。特に私が購入した個体は、前のオーナー様が最高のオプションを選択してくださっていて、ラヴァリナレザーと呼ばれるアルピナ純正オプションの最高級レザーで作られたシート。写真を見ると、イマイチな雰囲気かもしれないのですが、そして、手で触ってもあまり実感できなかったのですが、座ってびっくり!!なんでこんなに体に吸い付くのっていうくらい座り心地が最高です。
その他にもアルピナの個体番号が付いたプレートがつけられていたり、ウッド調になっているところがあったりと、本当にラグジュアリーな雰囲気を感じることができます。
総評
ということで、色々見てみましたが、2台とも魅力満点の車だと思います。どっちが、”羊を被った狼”としてふさわしいかと言われたら、アルピナ B4のほうがふさわしいかな。ジャガー XE Sは、少し近づいただけで邪気があふれ出ている感じがしますw
アルピナは、普通に走っていたら、本当に静かですが、踏んだら、アホみたいに速い。私は、”蝶のように舞い、蜂のように刺す車”という印象を持ちました。
ジャガー XE Sは、やっぱり刺激的な車で、何より足回りがアルピナに負けず劣らずということが新たな発見ですね。本当にいい車だと思います。
しばらくは、アルピナ B4を楽しんでいきたいと思います!!